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(2008/03/19)

リレー小説第25回

こんにちは、凪木です。

遅くなりましたが、指名を受けたのでリレー小説第25回を書いておきます。

 

 

「どうして<03>がセカンダリーフォーマットの方法を手に入れたのか……。<03>が両性具有体であることに起因する自己認識機能の歪みが関係するのか、あるいは<03>と共に研究所を脱走した職員が関わっている可能性もあるが、詳しいことは私にも解らない。しかし、管理者権限の一部を得たことにより、<03>は擬似的に『成長』することが可能になった。君達から機能を奪ったのはその一端だろう。

 厄介なのは、<03>と共に姿を消した職員が、私達の極秘研究チームの一員であることだ。つまり、生身の人間の脳から人工ニューロンにデータをコピーする手法が漏れていることになる。実際、そこのベッドに寝ている……そう、その子だ。その子はここの職員の息子なのだが、<03>によって生命維持を除く脳機能のほとんどを奪われている。仮に研究所の外で、一般市民に被害が生じるようなことになれば、問題が明るみに出ることは間違いない。そうなる前に、何としても<03>の暴走を止めねばならないのだ」

 老人はここまで話して、俺の方を見た。

「何となくだが事態は飲み込めた。しかし……なぜ<03>の捕捉に俺達を? 研究所の人間に任せる方が賢明じゃないのか?」

 俺がそう言うと、老人は<02>から<04>へ、そして俺へとゆっくり視線を移動させ、再び話し始めた。

「そう、これは非常に困難な、リスクを伴う任務だ。<03>がセカンダリーフォーマットを終え、取得した機能を自身に取り込むのは時間の問題。そうなれば、<03>は人間よりも遙かに高いレベルの身体・精神機能を持った個体となる。私達では太刀打ちできなかもしれない。……だが、私達も馬鹿ではない。人工ニューロンの開発当初から、こうした非常事態の可能性は指摘されていた。そのため、私は各ロボットに『鎖』と呼ばれる抑制装置を取り付けたのだ。

 作りだされた4体のロボットは、『鎖』によって不可視物理的に結合された状態にある。4体のロボットが一定距離内に存在するとき、各個体はこの結合を用いて相互に干渉できるのだ。つまり、この方法ならば<03>の機能を停止させることも可能になる。幸い、『鎖』は私が個人的に開発し搭載した装置で、<03>にも、逃げ出した職員にもその存在は知られていないはずだ。君達に『鎖』の操作法を教えるから、これを使って<03>を止めてもらいたい」

 

 

長い……なぜこんなに長くなったのか。そして物語の流れはちゃんと読めたのか。

この辺で次の方に投げたいと思います(無責任)。

 

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