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08/03/12

リレー小説第24回

第2章

 

<03>は安全な場を求めていた。長時間人目の付かぬ静かな屋内、つまりセカンダリーフォーマットを適切に実行できるような環境。

<04>がかつて有していた感情の断片は今、彼の、いや彼とも彼女とも呼べない<03>のサブメモリー内にある。<03>にはどうしてもそれが必要だった。しかしその<04>の感情を<03>はまだ覗くことはできていない。人間の脳をモデルに有機的に開発された人口ニューロンと、20世紀型の、いわゆる0と1の電気信号で動作するディジタルなサブメモリーとは直接同期させることはできないのだ。<03>達は通常、生身の人間とほとんど同じように人口ニューロンの脳作用によって作動しているが、彼らが外部的な記憶や情報を大量に取得するとなると、サブメモリーに一端とりこまれたデータをセカンダリーフォーマットによって人口ニューロンに同期させることが必要になる。セカンダリーフォーマットは本来<03>たちが自発的に行うことのできるものではない。彼らの管理者にのみその権限があり、これによってサイボーグ達の統制がある程度とられてきた。しかし<03>はある時から、自己完結的にセカンダリーフォーマットを行う方法を手に入れてしまっていたのだ。

 

初めまして。あいきたくとです。

リレー小説、間隔が空いてしまいましたね。

ということで勝手に第2章に突入させてしまいました。

後はよろしく。

 

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