(2007/12/02)
リレー第23回
ずっと放置してしまい申し訳ありませんでした。お詫びのしようもありません・・・・・・・代わりと言ってはなんですが分量を書いておきます(笑)
「とりあえず、俺がなぜここにいるのか、人間だったはずの俺がなぜこんな姿になったのかを説明してもらいましょうか」
俺は老人の言葉を受けて言った。
「そこまで遡らないといけないのか。君の記憶回路は相当ダメージを受けたようだね」
<02>が驚いた口調で、光のない眼を俺に向けた。<04>は無表情に黙ったままだ。この場で、俺だけが事情を呑み込めていないのか。
「<03>は無理な改造を行った上に乱雑な扱いをしたからな。無理もあるまい。では、君達の開発まで遡って話を始めようとするかな」
老人はベッドまで移動し、その縁に腰かけた。話が長くなるのを覚悟したのだろう、彼の足腰はかなり弱っているらしい。
「私が開発した人工ニューロンにより、人間の脳と同じ容量で同じ働きをする人工知能が可能になった。君達はその人工知能を搭載した史上初のロボットだ。
ただ、私の人工知能でも1から成人並の思考力を持たせることはできず、生身の人間の脳のデータをすべてコピーする必要があった。ここで重要な倫理的問題が起こったのさ。記憶、思考方法、性格など、人間の固有性は脳によって決定される。一個の人格のコピーに人々は拒絶反応を示した。かつて2000年代前後にあったというヒトクローン問題より深刻な問いだった。しかし、政府は諦めず、私を筆頭とする極秘プロジェクトを立ち上げた。
我々は秘密裏に、脳のデータの提供を末期癌などの重篤患者に依頼した。死後も「自分の人格」が存続するという希望から、4人が脳の「コピー」に同意した。君達の記憶、思考方法、性格をかつて有していた人間は、もはやこの世にいないのだよ。すなわち、君達の存在は私と、一部の政府筋の人間と、君達しか知らない。これらが明るみに出ると私の地位ばかりか君達の存在すら危うくなるのだ。だから、君達は私の言うことを聞き、一刻も早く<03>を捕捉して、誰にも知られないうちに事態を収拾させねばならないのだ」